心の椅子

精神的支えのことを「心の椅子」と呼んでいます。思わぬ体調不良の予防に役立つと思い、このブログを立ち上げました。

「やがて君になる」

男性の友人に勧められて読んだ百合漫画。

<あらすじ>
1.付き合い
高校入学直後の小糸侑も一年上の七海燈子も、どちらも人を好きになったことがなく、「誰かの特別になる」ということが分からない。
七海が告白されて断る現場をたまたま侑は見てしまう。侑はその後生徒会室で、七海と話す。七海は過去に何度も告白されているが、付き合ったことがない。どきどきしたことがないためだという。
中学の同級生からの告白の返事に悩んでいると侑は七海に相談する。断るという結論は出ているものの、人を好きになったことがない、特別が分からないというのがおかしいのではないかと思う。七海は、「好きにならなきゃいけないと思ってつらかったんだね」「君はそのままでいいんだよ」とアドバイスする。
結局、中学の同級生の告白を侑は断る。その直後、七海は侑のことが好きになったと伝える。
七海の押しの強さもあり、侑は七海と「付き合う」ようになる。
(ただし、付き合いとは七海は言わず、「好きでいさせて」という一方的なもの。それを侑は「構いませんけれど」と返答している)

2.生徒会劇編
文化祭に生徒会劇を7年ぶりに復活させたいと七海は起案する。実は姉の死によって、生徒会劇は中止されたのだった。
それを復活させることによって、完璧な姉を演じることを完成させる狙いが七海にはあった。
生徒会劇は、記憶を失った少女が、旧友、弟、恋人(女性)の3人から、自分がどういう人間か聞かされるが、いずれも異なるもので混乱するというストーリー。
侑は協力しつつも、結末を書き換えるように脚本担当の同級生に進言。当初は恋人の像を選ぶというものを自分の選択で選ぶというものに変えられた。無事、劇は成功のもとに終わる。

<感想>
原因か結果なのかはわからないけれど、人を好きになるということは、自分が変化し、相手をも変化させることなのだと思う。七海は生徒会劇によって、変化した。侑の存在はもちろん大きい。
故姉を演じ続けなくてはいけないという思いから解放されるためには、生徒会劇と侑の存在が必要だったのだ。

しかし、今度は侑が変化する番だったのだ。侑が七海のことを好きだというシーンで、七海は「ごめん」という。告白に対する返事ではなく、侑は変わってはいけないというように束縛していたことに気づいたことに対してだった。それがうまく伝わらず、侑は去っていく。七海は追いかけることが出来ない。その後の展開もいいが、それは読んでもらいたい。

七海の解放・成長も感動的だが、侑にも変化が起こっていたというのがいいなと思った。恋愛は、ダイナミックな交互作用(dynamic interaction)であり、お互いが変化を促し合うものなのだと思う。

変化することも、好きだと言うことも非常に怖いことだと思う。でも、逆にそれを受け入れ見守ってくれる存在であれば、どんなに心強いことだろうかと思う。

この漫画を読んで涙が出た。私にも変化があったのだった。