心の椅子

精神的支えのことを「心の椅子」と呼んでいます。思わぬ体調不良の予防に役立つと思い、このブログを立ち上げました。

後輩に追い抜かれた話

私は高校大学と囲碁部に所属していた。

子供の時ルールは教えてもらったけれど、受験勉強もあって、高校に入るまでは遠ざかっていた。本当は将棋部があればいいなと思っていたが、無かったので囲碁部に入部した。何も部活しないのも味気ないと思ったからだ。結構速いスピードで上達した。でも、団体戦の選手枠は3名。二年生のときにもチャンスはあったけれど、選ばれなかった。いよいよ三年生となる。同じ学年の子は強い。二年生の子は私とほぼ同じ。一年生の子は中学生の頃から知っていて強い。四人で部内リーグをすることを提案した。初戦で、その強い一年生に勝ったはいいが、残りの二戦を負けてしまった。実力だけでなく、メンタルの部分でもイマイチで、悔いが残った。結果、私は補欠となる。チームは全国大会で優勝したが、祝う気持ちにはなれなかった。

大学でも囲碁部に入部した。今度こそはという気持ちでいた。レベルは高校以上なのもわかっていたが、それでも四年間のうちで成果は出せそうな楽観的と言うか甘い気持ちでいた。部内リーグでいいときもあったが、よくて一次抜けで、二次では相手にならなかった。プロレベルのアマ強豪もいたので、住む世界が違うのを実感した。

さて、こうなると自分の実力の少し上や下に気が行くのも自然な気がする。ひとつ下にA君という私とほぼ同じかちょっと下かなぐらいの子がいた。勝ったり負けたりだったが、定石の知識などは私の方が上だと思い、やはり自分のほうが少し上だと勝手に思っていた。だんだん分が悪くなってきた。私が全然敵わなかった先輩にA君が土をつけるようになったとき、私は愕然としたことを覚えている。自分の方が少し上だと思っていた上下関係が崩れてしまったのだ。とうとう、A君は団体戦の選手となった。うわ~、心が折れてしまった。

勝負の世界なので実力が全てなのだが、卒業が控えていたこともあって、それからは囲碁への情熱が急速に冷めてしまった。いろいろ買っていた棋書も部室に置いて、「良かったら読んでください」と置き土産をした。

ラソンにたとえると、自分の少し後ろにいた選手に追い抜かれ、再び追い抜こうなどと思えないほどの距離をつけられたという感じだろう。別にこの話を一般化するつもりもない。ただ、たまに思い出すエピソードなのだ。

大学の囲碁部には、忘れられない思い出がもう一つあるが、それは次回にする。